全 国 巨石磐座 探訪記 |
奈良県 巨石 磐座 |
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天香具山 |
大和三山は天香具山・畝傍山・耳成山の三つの山の総称である。いずれも200mに満たない低山であるが、神話・伝説と歴史の舞台であり、詩歌などにも詠まれ、古代から人々に親しまれ崇拝されてきた。 三つの山のうち香具山だけに「天」の字が冠されている。それは、この山が天から降ってきたという伝承があるからだ。 |
畝傍山 |
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例えば、上野誠・著「大和三山の古代」には「伊予国風土記」に引用された伝承として、「天から降ってきた山が途中で割れて、その一つが伊予の天山となり、もう一つが大和の天の香具山となった」と書かれている。「橿原市史」にも同様の記述があるが、出典は同じく「伊予国風土記」となっている。 山が天空で割れて一つが奈良の大和へ、他の一つが四国の愛媛へ降った、という神話伝説である。これはたとえば、古代に隕石が飛来した伝承がこういった神話に転化したのだろうか。 |
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不思議な符合であるが、伊予三山なる言葉もあるようだ。 さて、天の香具山の南麓に天岩戸神社がある。古事記、日本書紀の神話のとおり、天照大神が岩戸に隠れ、世界が暗黒になったために神々が集い、岩戸開きの儀式を行なった場所とされる。当地の天の岩戸神社は、橿原市郊外の天の香具山の麓にある小さな社であるが、その歴史は深い。 |
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狭い道路脇の鳥居をくぐって進むと拝殿が見える。本殿はない。拝殿の背後に柵があって、その中の4個の巨石で構成される岩がご神体で、天照大神が幽居した天の岩戸と伝えられる。岩は洞窟を構成しているという文献があるが柵の外側からは、洞窟らしいものは見えず、岩も重なっているためか3個しか数えられない。
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拝殿には靴を脱いでスリッパに履き替える。中には、橿原ライオンズクラブ発行の絵本「天の岩戸と七本竹」の内容が額装されて飾られている。天岩戸神話をモチーフにした挿絵が多く、見ていて楽しく、素朴な社殿に彩りを添えている。 伝説によると、七本竹は毎年七本生えて、七本が枯れる。笹竹は、アマテラスを岩戸から出すために、天宇受売命が半裸で踊るときに使ったものと伝わる。 |
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天の岩戸といえば宮崎県高千穂町の天岩戸神社が老舗のような存在であるが、同名の神社は全国各地にあり、どこが正しいのか、我々を悩ませる。ウィキペディアによると天の岩戸は15カ所を数えるが、実際はもっとあるのではないか、と思う。 天の岩戸「事件」は、もとより天上界の出来事であり、現実世界のものではない。 ところで、宗教的な考え方の中に、天上界あるいは霊界の出来事は、地上界に転写される、というものがある。つまり、天界で発生した事象は、ある時間をおいて地上界でも発生する、という考え方である。その転写の過程で、マルチスクリーンのようにコピーが複数個生まれた、・・・のではないか、というとなんとなく説得力があるようでもあるが、所詮はヒマ人の空想の産物にすぎないか。 |
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参考文献; |
現地説明板 |
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