巨石と
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  所在地;岡山県倉敷市矢部
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      吉備の国は古代日本の地方国家の一つで、その領域は現在の岡山県全域と広島県東部、さらに兵庫県と香川県の一部にも及んでいた。現在は岡山市北西部から総社市にかけての一帯を観光エリアとして「吉備路」という名称が定着している。(Wikipedia
 
楯築遺跡は倉敷市の北方、足守川に沿った位置にあって、王墓の丘史跡公園の中にある。楯築遺跡は楯築弥生墳丘墓の一部で、弥生時代後期の古墳の上に立つ5個の巨石で構成される。古墳はかつて岡山大学考古学研究室によって6回に亘って発掘調査された。全長が約72mで、弥生墳丘墓としては最大とされる。
 
  ところで、古墳の上にこのような特異な巨石が存在する例は珍しいと思われる。現地の説明板には「主墳の頂には五個の巨石が、また斜面にも石列がみられる。これらは埋葬の霊域を守る役目をもつものであろうか。」と書かれている。
全国的に分布する、磐座とされる巨石は、古墳時代よりもっと古い時代に遡るものが多い。そのような観点から楯築遺跡を捉え、墳丘墓が建設される以前からこの丘が聖なる地で既に古くからの祭祀の場であった、と述べている文献に接することができた。
薬師寺慎一・著「祭祀から見た古代吉備」のなかで、「この丘に有力者を埋葬した理由は、それ以前からこの丘が聖なる丘であったからだというのが私の考えです」と述べ、古墳が建設される以前に、ここが神祭りの場であった当時のものが、楯築神社の御神体石と5個の立石ではないかと推論し、これらは葬儀用ではなく祭祀用であったと主張している。
 

 それぞれにユニークな形状の5個の立石は東西南北の方向に一致して配置され、その中央に石組の祠が鎮座している。それが楯築神社で、その中にあった神体石は、今は近くの収蔵庫に保管されている。
 谷川健一・編「日本の神々」によると、元の楯築神社は近くの鯉喰神社に合祀され、正式な楯築神社は存在しない。古文献を調査した結果、「楯築神社の祭神は明確でなく、石霊を祭神としていたと考えるのが妥当であろうと思われる。」と述べている。 


左;西石/右;北石 
右;北石/中央;西石/左;祠  

東石(右)と祠 

薬師寺慎一氏の著書に戻ると、岡山大の調査結果の、これらの立石はここに墳丘墓が築かれた頃に設けられたという見方は当然だとしながらも(古墳の排水溝の真上に南側の立石が位置していたことなど)、「立石はこの墳丘墓の被葬者(首長)自身が生前に立てていたもので、その人物はこの立石をヨリシロとして神祭りを行っていたと、私は考えているわけです。」そして緻密な考証の結果、「日本列島における「前方後円」という形の墓の起こりは楯築にあると考えられる・・・」と述べている。


東石 

南石(左)と祠 
 石組の祠を取り囲む4個の立石の方角を調べると、おおむね東西南北の方向に立っている。明らかに東西南北の方向を意識している。岐阜県の岩屋岩陰遺跡は古代の天体観測所で、春分・秋分等季節の節目を知るために巨石が巧みに配置されている、という研究の他、英国のストーンヘンジも天体観測所であった、という研究者もいるが、楯築遺跡の巨石は4個だけで、天体観測の用途にはあまりにもシンプルである。
しかしながら、楯築遺跡の「神祭り」とは、季節を知ることが目的の一つで、作物の豊作等を祈ったのであろうか、と想像してみても構わないではないか。

南石 
参考文献;   Wikipedia
谷川健一・編「日本の神々」第二巻・白水社
薬師寺慎一・著「祭祀から見た古代吉備」・吉備人出版
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