巨石と
磐座
探訪記
  
 徳島県の
巨石
磐座
 
  
 所在地;徳島県三好郡東みよし町中庄
 
      徳島市は四国の東端にあり、徳島自動車道と国道192号線(伊予街道)がほぼ東西方向に走る。この二つの道路に挟まれた位置に吉野川が流れ、徳島市で紀伊水道に注いでいる。
徳島市から国道192号線を西方向に辿ると約70kmで東みよし町に至る。 八幡神社はこの国道とJR徳島線の三加茂駅との挟まれた地域にあって、国道を走っていると目指す磐境が道路沿いに並んでいるのが見える。
 
 東みよし町は合併前に三加茂町と云った。八幡神社に関する文献は旧地名で記載されている。磐境とは、広辞苑には「神の鎮座する施設・区域」とある。祭祀場の境界を示すものがその機能の一部なら、結界とよく似ている。境内の説明板には「大昔この地に神が祀られその神域の境界を示すものとして磐境が残っている」と明快に記されている。八幡神社の社域と国道とを区切って一列に並んでいる列石は「磐境」と認定されている。  

不揃いではあるが、高さ約1メートル、厚さ30cmくらいである。素材は阿波でとれる板状の青い結晶片岩と云われ、どことなく青みがかっている。道路沿いに並ぶのは20数個、中の方に数個が立っている。そこは神社の背後に相当し、正面はJR線側である。「磐座紀行」では合計七十五個を数え、そして本殿の背後の草むらの部分が列石に囲まれていて、それが八幡神社の元の社地である、と分析している。他の文献によると、列石の総数は387個となっているが、現在はそれよりもはるかに少なくなっている。
たまたま境内で草むしりをしていた神社関係者に聞くと、列石は道路工事などで、もとの場所から移動して現在の位置になった、また、今後移動する場合には教育委員会に申請しなければならない、と言っていた。周辺の諸事情によって原型を保つことは困難であったようだが、これほどの規模の磐境が現存する例は珍しく、貴重なものである。

   

参考文献;

現地説明板
藤本浩一・著「磐座紀行」
大西雅子・著「阿波の古社めぐり」
  谷川健一・編「日本の神々」第二巻山陽・四国

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