全 国
巨石磐座
探訪記
  
東洋一と云われた 高山メンヒル 愛媛県の
巨石
磐座
 
 
 
 
 

所在地;愛媛県大洲市高山621 
 
大洲市は、道後温泉で知られる松山市の南南西およそ40kmの位置にあり、肱川の河畔に建つ大洲城が見守る城下町である。大洲盆地周辺の地形が山岳地帯に属していて、かつては外部との交通が困難であったが、現在はJR予讃線や国道56号線、松山自動車道等が発達しており、松山方面はむろんのこと今治市から瀬戸内しまなみ海道を経由して広島県まで陸路を行くことができる。      市街地の東方、肱川の対岸には冨士山(とみすやま、約320m)があり、大洲冨士とも呼ばれる。  
 高山メンヒルは市街地の西方の高山寺山丘陵地帯にある。JR予讃線の西大洲駅の踏切を超えて、大洲南部広域農道に入り途中で出石寺、西高山方面への看板を見て左折する。
民家が点在する狭い農道を曲がりくねりながら進んでいくと、片側が丘陵の斜面でそこには畑等があり、その反対側は開けていて大洲市街が見渡せる一帯に出る。その一画の古い民家の庭の道路わきに巨大な立石が立っている。それが高山メンヒルで、大洲市指定の史跡となっている。正面下部に石を組み合わせた長方形の台がありその上に丸い石を積み重ねた祭壇が設置されている。榊ようの植物が生けられていることから、定期的にお参りする人がいるようだ。
 
      


ところで、メンヒルとは一般に立石のことであるが、徳島出身の考古学者であり民俗学者であった鳥居龍蔵博士によって「東洋一のメンヒル」と云われたという話が伝わっている。高山メンヒルが東洋一かどうかは疑問符が付きそうだ。高さ4.75mとされるが、これより大きな立石は日本にも存在するからだ。
鳥居龍蔵記念館が徳島市にあり、アジアの民俗学的フィールドワークの実績が主に展示されている。博士は巨石研究も熱心にされたといわれるが、巨石についての展示はない。

さて、東洋一と云われたメンヒルの下部に設置された丸い石積の祭壇は、どうも仏教式の様な感がある。傍らの石の説明板を読むと、やはり、「古来前面を仏とし背面を神として崇拝され・・・・」とある。「大洲市誌」には「高山の石仏」として若干の記述がある。
前面が仏で背面が神というのは、神仏習合の考え方の一つの表現であろう。
正面は東方を向いており、冨士山が良く見える大洲市街を見下ろしている。その左方、地図上では約7km先に神南山(710m)が見える。

この立石の起源が知りたいところであるが、「愛媛県史」の「大洲の巨石」の項には、「高山の立石は人為的に構築されたことは何人も認めるところであるが、それがいつであったかは全く不明である。」とあり、大洲の巨石遺跡と呼ばれているものが、考古学的に調査されていないために、これらを縄文時代や弥生時代の巨石崇拝に関係する遺跡とはいえない、と断言している。
しかし、現地の説明板の冒頭には「先史時代の人々の手でこの地に遺したとされる・・・・・大洲市教育委員会」と刻まれている。

全国に分布する巨石、特に磐座と云われるもので、自然石については人々に崇拝され始めた時期、あるいは人為的に建立されたものについてはそれがいつか、分からないことが多い。巨石崇拝の歴史的な流れとして、太古の時代の自然神の依代としての巨石に端を発し、古神道や修験道、そして仏教が係わり現在の姿となる。
高山メンヒルもこの歴史流に乗ってきたものとすると、仏教伝来以前の先史時代からここにあり、人々に崇拝されてきたものかも知れない。

この高山メンヒルは太古の時代から、山の中腹に立って大洲の人々を見守ってきたのであろうか。そう思いたくなるような、存在感のある立石ではある。  

 
 参考文献;  大洲市誌編纂会・編・発行「大洲市誌」
愛媛県史編さん委員会・編 愛媛県・発行「愛媛県史 原始・古代T」
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