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巨石磐座
探訪記
  

白濱神社の 大明神岩

静岡県
巨石
磐座
所在地; 静岡県下田市白浜2740    
  伊豆半島は、かつては南洋にあった火山島や海底火山の集合体であったが、フィリピン海プレートと共に北上し、約60万年前に本州に衝突して半島になった。
 伊豆半島南部に位置する下田市は、江戸末期に外国の列強から開国を迫られた舞台である。とくにペリーの黒船艦隊の来航が一般によく知られている。
下田市街地のはずれには、美しい白浜海岸が広がっている。海の向こうには伊豆諸島がある。 
  

白濱神社は半島南部の東側を走る国道135号線沿いにある。白濱神社は通称で、正式名は伊古奈比当ス神社である。

国道沿いに赤い美しい鳥居があり、それをくぐって境内に入る。正面の拝殿の左脇の階段を辿ると本殿に誘われる。「これより御本殿・神域」と書かれた赤い鳥居をくぐると空気がさらに変わる。中には入れないが、本殿の前では身が引き締まる。

   

  境内のすぐ奥は白浜海岸で、大明神岩と呼ばれる巨大な岩礁の上に赤い鳥居が海を向いて立っている。鳥居の傍らからロープが張られ、隣の岩礁と結ばれている。鳥居の向こうは切り立った断崖で、崖下には巨大な洞窟があったという。

 
   「日本の神々」によると、「御釜(みかま)」と呼ばれていた洞窟は、今は崩落しているが、かつての神職の調査によると、洞窟は奥深く続いていて、本殿の真下あたりに祠があって「御釜」が祭祀の場であったことが確認されたという。本書は続けて、
 
 「まさに霊界への通路を思わせる地形であり、あるいはそこが伊豆の島々へ通じるカミの道と考えられていたのではなかろうか。祭祀遺物の出土した崖上からは伊豆の島々が見わたせる。長い白浜のなかにあって青々と樹木が茂り、かつ奇怪な洞窟をもつこの森山は、島々から来臨する神々の霊地としてまことにふさわしい場所といえるであろう。」
 と記載されている。

太鼓橋

拝殿
 
 「静岡県史」には、「三宅記」という伊豆地方の神々の縁起を記した古文書を参照して、この地の神話を解説している。それによると、
 祭神の三嶋大明神は天竺(インド)の王子で、はるか南方より黒潮に乗り富士山を目指して航海の末伊豆に漂着し、火山神である富士の明神の指示により大島、三宅島など伊豆の島々を造り、賀茂族の姫神・伊古奈比当スを后として迎え、白浜に住んだと伝えられる。三島市の三嶋大社には、大山祇命と事代主神の二柱を総じて三嶋大明神として祀られている。

本殿前の鳥居

本殿
 
 伊古奈比当ス神社の大祭の前後に行なわれる、伊豆七島を対象とした神事に注目してみよう。「静岡県史」を参照してまとめると、以下のようである。
 
火達祭(現地看板)
 「火達(ひたち)祭」は大祭の前日に、本殿前で焚火をして七本の松明に火を移す。そして白浜砂丘に移動し、祭場に設けられた七基の火達座に松明の火を点火する。そして伊豆諸島を遙拝し、神々を迎える儀式が執り行われる。

大祭終了後の「御幣(おんべ)流し」は海岸に斎場を設け、神饌を供して諸島を遙拝し、大明神岩から海中に島の数に相当する七本の御幣と供え物を投げ入れる。

一本ずつ海へ投げ入れられた御幣は波にもまれながら沖に向かって流れていく。神々を島々へお送りする儀式である。

 
右が大明神岩
   鳥居が立つ大明神岩の下が神社発祥の源だとすると、伊古奈比当ス神社の奥宮ということになるが、奥宮というにはあまりにも開放的でスケールが大きい。海は全てを生み出した。海は壮大な神々の奥宮なのだ。

大明神岩での神事は、火達祭で海の奥宮から神々を迎え、そして御幣流しによって奥宮へ送り返すという儀式なのだ。

この二つの神事は、神迎えと神送りの儀礼の形をとり、島々の噴火による造山活動などの自然の脅威を鎮めたいという人類の願いの発露でもあろう。

 

参考文献;

 

現地説明板
静岡県・編集発行「静岡県史」
池田清隆・著「磐座百選」(株)出窓社
財団法人 静岡県文化財団・発行「静岡の文化50号」
谷川健一・編「日本の神々 第十巻 東海」((株)白水社)
「日本の神社大全 第5巻 甲信/東海」  (株)ディアゴスティーニ・ジャパン・発行

 
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