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巨石磐座探訪記 
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  所在地;岩手県花巻市東和町谷内
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 岩手県北上市から国道107号と456号を経て県道花巻田瀬線に入るとやがて花巻市東和町谷内に至る。
 辺りは田園地帯で民家はあまりない。谷内の集落を過ぎ県道をそれて森林地帯に入っていくと間もなく丹内山神社に至る。

丹内山神社には七不思議が伝わっており、それぞれに興味を引くが、大いなる存在感を放つのは神社の奥に鎮座するアラハバキ大神の巨石である。


  この神社の祭神はじつはアラハバキ大神ではない。
神社入口の案内板によると、創建は約千二百年前上古地方開拓の祖神
多邇知比古神(たにちひこのかみ)を祀った、とある。

地域の信仰の拠点として栄え、坂上田村麿、藤原一族、物部氏他有力者
の崇敬を受け、神仏混淆の世には百八か所の御堂に同数の仏像が安置
されたと伝えられる。
 

参拝順序として神社奥の上段から下段の方へ向かうように指示されている。
順路としてはめずらしいが、岩を見たい自分には願ってもないことなの
でそのとおりにする。

 アラハバキ大神の巨石は社殿ができる以前から存在したと思われ、奥宮
としての磐座と見てもよいのではなかろうか。

 やや左寄りに空洞があり胎内石とも呼ばれる。胎内石は安産、受験、就
職、家内安全、交通安全、商売繁盛の他、壁面に触れぬようにくぐりぬけ
ると大願成就がなされ、又触れた場合でも合格が叶えられると伝えられて
いる。
 
   アラハバキという不思議な名前の古代神は、一般には東北地方の民俗
信仰において崇拝される神であるとされている。しかしながら、その起源
など謎が多いよう
である。
原点は南アラビアの一地方にあってアラハバキの語源は、最高の神を
意味する古代アラビア語の「アラバキ」からきているという説から説き起こし
、弥生時代の初期に日本に渡来した部族の最高神であったが、大和朝
廷や仏教の影響により影を薄められ、江戸時代には何神であるか不明に
されて、わずかに古代氏族が王権の抹殺を逃れるために今日まで密かに
その伝統を守り続けたのだという。

 また、アラハバキ神は天孫族が渡来する以前に、先住民族によって祭
られた神、すなわち地主神である、という別の説もある。
アラハバキ神の謎については、近江雅和著「記紀解体」に詳述されている。
 
    さて、愛知県豊川市一宮町の砥鹿神社の奥宮は本宮山の頂上近くに鎮座するが、その脇に「荒羽々気神社」があって祭神は「大己貴命荒魂」となっている。砥鹿神社は大己貴命を祀るが、大巳貴命の別名は大国主の命であり、日本人にとって最も親しまれる神話によれば、天孫族に国を譲った神で、出雲の地に建造された壮大な神殿に鎮まった地主神とされる。  

ここで、「大己貴命」と「大己貴命荒魂」とは何が違うのか?「大己貴命荒魂」は即ち「アラハバキ神」なのか?という疑問が
湧き上がる。荒魂とは神の荒々しい側面、荒ぶる魂とされる。一方で和魂は神の優しく平和的な側面であると云われる。

 大国主の命は平和的に出雲の国を譲ったと伝承されているが、史実はそうではないかもしれない。武力を背景に国譲りを
迫られ失意のうちに国を追われ荒ぶる魂となって北へ逃れ、和魂は消えうせ「大己貴命荒魂」となって遂に「アラハバキ神」と
なったのだろうか?

 前出の「荒羽々気神社」の祭神の神徳は「正しい勇気と身体健全を守護し特に健脚の守護神である」となっているが、この
説明は大変分かりやすいが、真相はもっと別な所にありそうだ。

 謎は謎のままにしておくしかないが、東北の地にあるアラハバキ神に因む巨岩はひっそりと苔むして鎮座していた。
注連縄を張られた胎内の入口を見つめていたところ、ある強烈な感慨に包まれた。
------人間は母の胎内からこの世に生を受けるが死ぬ時は、このような胎内石で象徴される空間を通って死後の世界、
すなわち別次元の世界へ移行して行く 
----------。 
それは、確信に近い想いであった。

 しかしながら、それはまだずっと先のことにしておこう、と思いながら、帰途に着くのだった。

 参考文献 ; 近江雅和著「記紀解体」 ; 丹内山神社説明板  ホーム
 
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