全 国 巨石磐座 探訪記 |
辰子姫の伝説 |
秋田県 巨石 磐座 |
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田沢湖は秋田県の中東部に位置する日本一深い湖(最大水深423m)である。ほぼ円形をしており、その周囲約20kmを周遊ドライブコースが美しい湖を囲んでいる。
御座石神社はその北部にある。創建はおよそ600年前で、祭神は事代主神、綿津見神、そして龍子姫神となっている。背後に高鉢山があり、その山中を少し入った所に辰子の鏡石がある。 |
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辰子は伝説の美少女で「辰子姫の伝説」として語り継がれている。その昔、この地で生まれた辰子は、世にもまれな美女として成長したが、いつからか永遠に美貌のままで生き続けたいと考えるようになった。そして近くの大蔵山観音へお百度参りをしたら百日目に観音様が現れて、北方の泉を求めれば願いはかなうと告げられた。その泉の水を夢中で飲むうちに辰子はいつの間にか龍に変身しており同時に一大鳴動とともに、眼前に満々と水をたたえた湖ができた、という。これが今の田沢湖とされる。こうして辰子は田沢湖の主となった。 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
その泉は「潟頭の霊泉」といわれ、御座石神社の西側にある駐車場の端に保存され、小さな祠が祀られている。田沢湖畔に建つ御座石神社の赤い鳥居の前には広大な湖が広がっている。祭神の龍子姫神とは、辰子が龍に化身してから祀られたらしく、由緒には、女性が湖水に沐浴して龍神を信仰すればますます美人になれる、と書かれている。御座石神社の境内には半身龍になった辰子像が展示されている。 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
さて、鏡石は霊泉の脇を通り登山道に入って少し歩いた所にある。道の行き止まりに見晴台があってそこから鏡石を鑑賞する。
むかし、辰子が親孝行な娘であったころ、山菜取りなどでよくこの一帯に来ていた。そこに鏡のように磨かれた不思議な巨大な石があった。そのころは鏡などない時代で、辰子はこの鏡石に向かって髪を結い化粧をした、と伝えられる。 |
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秋田には三湖伝説として十和田湖、田沢湖、八郎潟の三つの湖にまつわる伝説が広く流布されている。八郎太郎の伝説もその一つで、辰子姫との出会いもおとぎ話風に語られる。(「日本の伝説14秋田の伝説」) 龍となって田沢湖の主となった辰子は、八郎潟の主である八郎太郎と深い仲になった。冬になると八郎は僧に姿を変えて田沢湖にやって来て辰子のもとで暮らすので、田沢湖は冬でも凍ることがないのだという。異なる伝説の主人公たちがリンクするところがなかなか面白い。 |
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御座石神社から湖畔に沿って西回りに5kmほど南下した湖畔に辰子像がある。周辺には茶店やホテルなどもあって小さな観光地になっている。辰子像は青銅金箔製で、沐浴から上がったばかりの辰子を表現している。昭和40年代に作られたためか、そのプロフィールは現代風の美少女である。 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
参考文献; | 現地説明板 田沢湖町史編纂委員会・編「田沢湖町史」田沢湖町教育委員会 野添憲治・野口達二・著「日本の伝説 第14巻 秋田の伝説」 (株)角川書店 ウェブサイト「巨石巡礼」http://home.s01.itscom.net/sahara/stone/index.htm |
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