全 国
巨石磐座
探訪記
  
阿波国の天岩戸
天磐戸神社
徳島県
巨石
磐座
 
所在地;徳島県美馬郡つるぎ町一宇字法正
 

  伊勢の天岩戸    
 天岩戸は神話によると、天照大神が弟須佐之男命の乱暴に怒って岩窟の中に隠れ、世界が暗黒になったために高天原の神々が集い、岩戸開きの儀式を行なった場所とされる。いったい高天原がどこにあったのかは判然としない。天の岩戸といえば宮崎県高千穂町の天岩戸神社が老舗のような存在であるが、同名の神社は全国各地にあり、どこが正しいのか、我々を悩ませる。ウィキペディアによると天の岩戸はざっと15カ所を数えるが、実際はもっとあるのではないか、と思われる。  
山梨の天岩戸
 

日本の古文書のなかにホツマツタヱというものがある。鳥居礼・著「言霊-ホツマ」の中に高天原についての解説があるが、やや難解で、筆者の単純な理解を述べると、天上の高天原に神々が鎮座し、地上においてその神々を祀る所を高天原という、ことらしい。とすれば、この世界に高天原がいくつあってもおかしくはない。

 
 
  

さて、阿波の国すなわち徳島県の天岩戸は、剣山の麓にある。剣山は約2千mの徳島県の最高峰で、その裾野は三好市、美馬市、那賀町など広範囲にわたる。

阿波国の天岩戸・天磐戸神社は剣山頂上から直線距離で約6km北北西に位置する。公共交通機関では難しいので車で行くことになるが、徳島市から行くとすると、国道438号線に入って剣山直下の見ノ越へ出て同じく438号を少し北上する。あるいは徳島自動車道の美馬インターから438号線に入ってもよいが、そこは剣山ドライブウェイで、桑平という地区から地方道に入る。集落を過ぎると林道然とした道になるがさらに進んでいくと左側に鳥居が見えてくる。鳥居をくぐった先の山中に天磐戸神社が鎮座する。階段を登ると質素な社殿がある。その脇から境内地である森の中に入って行く。巨石群の間に石灯篭、猿田彦大神、天宇受売命の彫像などが配置されている。さらに進むと神楽石といわれる平らな巨石がありその奥に祠が祀られている。その周辺一帯には巨石が数多くあり、それぞれが磐座で、一体は神域とされる。

   
 
 
   

美馬市やつるぎ町は古代から阿波忌部の拠点地であり、とくに美馬市木屋平には阿波忌部直系の子孫である三木家があり代々忌部氏を継承してきた。令和元年の大嘗祭には三木家の大麻畑で栽培された大麻で織った麁服(あらたえ)が宮中で行われる大嘗祭に奉納された。

林博章・著「天皇即位と大嘗祭・徳島阿波忌部の歴史考」によると、阿波の人々は、弥生時代後期から吉野川流域と剣山系を中心に展開し、各地に麻などを植え農業、養蚕、織物、漁業、製紙などの生産活動をし、彼らが後の阿波忌部となった。阿波忌部の祖神は天日鷲命(あめのひわしのみこと)で、太玉命が率いた忌部諸族の一つとされる。

 

  

天磐戸神社は忌部神社の摂社と伝承され、神楽岩とその奥の磐座は天岩戸と信じられている。祭神は、天の岩戸神話において、アマテラスが籠もった岩戸の扉を開けたという天手力男命であるが、社殿には天照大神の神像が安置され、地元では天照大神を祀ると信じられてきた。(同書)

 それにしても、徳島市からここまでの道のりは、遠かった。



参考文献;

 
 鳥居礼・著「言霊-ホツマ」 (株)たま出版
林博章・著「天皇即位と大嘗祭・徳島阿波忌部の歴史考」
(株)日本地域社会研究所
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