全 国
巨石磐座
探訪記
  
大矢谷・白山神社の岩塊 福井県
巨石
磐座
 

所在地;福井県勝山市平泉寺町大矢谷18
 
 大矢谷・白山神社   
 福井県北東部に位置する勝山市は恐竜博物館等恐竜に因む施設に人気がある一方で、白山信仰の拠点となった平泉寺白山神社も多くの人々を引き付けている。

冒頭の巨石は、同じ平泉寺町のはずれにある大矢谷地区に祀られている別の白山神社の磐座である。平泉寺白山神社は大勢の参拝客で賑わうが、こちらは人里離れた場所にひっそりと鎮座している。白山信仰の裾野は広く、白山神社と称する神社は約1700社もあり、ここもその一つである。県道26号を逸れた狭い農道を歩いた先にあり、鳥居越しに巨岩が見える。
現地看板によると、この巨石は約3万年前、勝山市の東端部、大野市と接する位置にある経ヶ岳の火山活動により山頂部が崩れてなだれ落ちてきた岩塊であるとしている。

 大矢谷・白山神社 
平泉寺白山神社    
 加賀の白山は古くから、駿河の富士山、越中の立山と共に日本の三名山の一つとされてきた。「日本百名山」の著者・深田久弥氏はその「後記」において、百名山の選定基準を述べた項で、「人々が朝夕仰いで敬まい、その頂に祠をまつるような山は、おのずから名山の資格を持っている。」と述べている。先の日本の三名山はむろんその中に入っている。
平泉寺白山神社 

白山は8世紀前半、修験道の僧・泰澄(たいちょう)によって開かれた。717年、白山頂上に社殿を建て十一面観音を祀ったとされる。平泉寺町は、白山の山裾が途切れる西南端にあって、当時年々盛んになっていた白山信仰の修験者のための拠点となったのが起源とされる。平安時代末期には比叡山延暦寺の配下となって天台宗に属して発展した。平泉寺が最盛期にあった頃、浄土真宗の布教活動と相まって一向一揆の大動乱が勃発した。(16世紀後半) その結果、一揆の急襲と放火によって全山を焼き払われた。約十年後、焼け跡に顕聖院が建てられ平泉寺の復興が始まり、羽柴秀吉に保護された。続く徳川氏の時代には越前藩主松平秀康に庇護され地域は豊かになる。顕聖院は幕府の文書では玄成院となっていて明治初年全国的な廃仏毀釈により白山神社となって現在に至る。祭神は伊弉冊尊(いざなみのみこと)、大己貴の命(おおなむちのみこと)、天忍穂耳尊(あめのおしほみみのみこと)の三柱で、白山三所大権現と云われる。

   
御手洗池 

現地の由緒によると、泰澄大師が白山登拝の途中、現在は境内にある御手洗池を発見し、そこで白山の神の宣託を受け、当地に社を建てたことに始まるとされる。ここで疑問が生ずる。つまり歴史上では、当社は明治の代まで寺院として登録されているので、神社としては明治から始まったように解釈できる。しかし現地の説明板には、創建は養老元年(717年)となっていて、「後世一般に平泉寺の名で知られたため寺院であるかのように思われてきたが本来神社である。」と書かれている。では何故、717年、白山頂上に十一面観音を祀ったのであろうか?

 
平泉寺白山神社 

平泉寺白山神社 
 その答えは神仏習合・本地垂迹の思想にある。つまり、日本の神々は、様々な仏の化身である、と云う。現在は制度上神社と寺院は別々のものであるが、日本人の宗教観の柔軟性によって、外来の仏教を従来の神道思想におおらかに取り入れて融合させてきた。寺院の境内に鳥居が混在する例も現存する。そして大方の日本人は神社とお寺の両方を信仰する器用な習慣をもっている。
平泉寺白山神社  
 
大矢谷・白山神社 
 「福井県神社誌」などによると、大矢谷の白山神社の創建は1522年、祭神は武甕槌命及び白山大神(伊弉冊尊)という記述が見られるが、巨石については書かれていない。

鳥居をくぐって進むと、巨大な岩塊が社殿に覆いかぶさるように迫りくる迫力に圧倒される。当神社が創建されるはるか以前に、泰澄大師はここを訪れて、巨岩に包まれるようにして一心に修行したのであろうか。 

 
大矢谷・白山神社 



参考文献;

 

深田久弥・著「日本百名山」(株)新潮社
福井県神社庁・編集発行「福井県神社誌」
勝山市・発行「勝山市史」第1巻 風土と歴史
谷川健一・編「日本の神々」第八巻北陸・白水社
勝山市・編「白山平泉寺 よみがえる宗教都市」 (株)吉川弘文館 

 ホーム
 
地 域 全国へのリンク集
東北・北海道   女郎子岩   岩木山  
 アラハバキ大神の巨岩 辰子の鏡石
姫神山のメンヒル  
 三ツ石神社  南部藩の烏帽子岩
北関東    加波山の三尊石  竪破山の太刀割石 
 名草の巨石群 
 産泰神社の巨石群 岩神の飛石 榛名神社の巨石
南関東  三石山の三体の巨岩   海南刀切神社   琴平神社の巨岩 
 北陸   五箇山の天柱石  電力会社が祀る龍石
石仏山の立石  機具岩  高瀬宮  
大矢谷白山神社の岩塊  飯部磐座神社 内外海半島の大神岩
甲信越    立石神社の巨石群    石割山の天戸岩  
雲峰寺の裂け石  大石山の奇岩群  花後薬師の磐座
日代御子神社の獅子岩   石森山の巨石群
諏訪大社の磐座  諏訪七石の一・小袋石
東海
伊豆/静岡
白濱神社の大明神岩  淡島の大黒岩
河内の大石     阿波々の森の巨石たち 天白磐座遺跡
立石稲荷  大国主を襲った赤猪石    巌室神社の稲荷神 
東海
愛知/岐阜/三重 
赤岩尾神社の柱状巨石  白山中居神社の磐境 
 花の窟  伊勢の天岩戸  伊勢の鏡岩 千方窟
女神が投げたつぶて岩
近畿  
兵庫/大阪/京都
破磐神社の割れ岩     巌石神社の巌    天の御柱
蛤山の蛤岩  石宝殿   高御位山
笠置山の巨石めぐり 伏見稲荷大社の磐座 
神谷磐座 岩屋神社の陽巌と陰巌
  交野の磐船     平石の磐船  
 有馬の袂石   有馬・愛宕山の天狗岩
近畿
滋賀/奈良/和歌山 
青竜山の磐座  謎の安閑石   神倉神社のごとびき岩 
 稲蔵神社の烏帽子岩  天乃石立  平群石床神社
香具山の天の岩戸  香具山の二つの巨石  御厨子山の月輪石
山陽     玉比神社の玉石   番田の立石    石畳神社  楯築遺跡  
    岩倉神社の磐座群   最上稲荷の巨石群  高梁の夫婦岩
磐岩神社の磐と岩  矢喰宮 鬼突岩
龍泉寺の巨石 大土山の高天原   
山陰  伯耆国の羽衣石   宮戸弁天   大国主と赤猪岩
霊石山の御子岩
坂浦の立石   スサノオ神話・須我神社奥宮の夫婦岩
四国   天岩戸立岩神社  立岩神社  阿波国の天岩戸
天神社の姫宮  八幡神社の磐境
忌部山の真立石   安神山の烏帽子岩  高山メンヒル
九州・沖縄   東霧島神社の裂石  神に斬られた巨石の破片 
万座ビーチのトベラ岩 
沖縄の亀石
メールをお寄せ下さい
ご意見、ご批判、御指導、そして巨石情報等お待ちします。
 
メールアドレス
3setsu.tk@gmail.com  
 
inserted by FC2 system